アウトレットモールが日本に登場して約30年。消費者にとってはブランドをお得な価格で買える場所として浸透し、ブランド側にとっても集客力のある重要な販路として定着しています。有力アウトレットモールは観光動線上にあり、「ショッピングリゾート」としての発展が目覚ましい昨今。最前線を追いました。
中でも王者・御殿場プレミアム・アウトレット(PO)は、運営する三菱地所・サイモンによると、25年3月期の売上高が前年比13.7%増の1409億円で過去最高を更新。コロナ前は1000億円に届いていなかったにも関わらず、増床効果もあって急成長しています。そして、好調は御殿場POに限った話ではありません。全国のSC売上高トップ10は、いまやアウトレットモールがその多くを占めているのです。
好調なアウトレットモールには2つの共通点があります。1つは大都市から離れた観光エリアに広大な敷地を持っていること。もう1つはそういった立地ゆえにラグジュアリーブランドの誘致に成功していることです。国内客だけでなく、近年は訪日客がそうしたアウトレットモールに足を延ばし、温泉やアミューズメント施設、名所旧跡をめぐる事例が増加。消費意欲が旺盛な訪日客が、売上高の底上げに大きく寄与しています。
アウトレットモールにとってブランド品の安さは一つの条件ですが、消費者が求めるのはそれだけではありません。ネットで安いものが探せる中、遠く離れたアウトレットモールに足を運ぶ人がこれだけいる。日常では味わえないワクワク感や体験価値を提供するアウトレットモールの手法には、学ぶところが多いはずです。
本特集では全国の有力モール取材、アウトレットに出店するファッション企業の店舗開発者による覆面座談会のほか、日本におけるアウトレットビジネスの立役者、三菱地所・サイモン社長のインタビューなどのコンテンツを盛り込みました。
不況とトランプ関税に揺れる中国
日本企業進出のポイントは?
米「WWD」の翻訳記事からは、エスティ ローダーのグローバルCEOに聞く再建策をピックアップ。新戦略「ビューティ・イマジンド」や構造改革などについて聞いています。中国専門ジャーナリスト・高口康太氏による連載「中国電脳コマース趣文」では、不動産不況とトランプ関税に揺れる中国における新たな市場攻略法にフォーカス。日本ブランドの海外進出支援を手掛けるNOVARCAにノウハウを聞きました。
<COVER CREDIT>
ILLUSTRATION:TAKASHI KAWAKAMI
ART DIRECTION & DESIGN:RYO TOMIZUKA
COVER REELS DESIGN:CHIGE(GWISUB JUNG)