東京・八王子の高尾山周辺は、神奈川の丹沢や埼玉の飯能、神戸の六甲などと共に、トレランのメッカだ。八王子市の統計では、市外への転出者が転入者を上回っているが、こと高尾エリアに限れば、「ランナーやハイカーの移住者が増えている実感がある」と、高尾のキーマンの1人、池田周平 高尾ビール社長は語る。高尾で山好きたちのコミュニティーを取材した。(この記事は「WWDJAPAN」2025年6月9日号からの抜粋です)
「ここに来れば誰かしらに会える」
(Mt. TAKAO BASE CAMP)
INFORMATION
マウントタカオ ベースキャンプ
住所:東京都八王子市高尾町1799-3
レンタルとカフェは平日8〜20時、土休日7〜20時営業
ロッカーやシャワーを備え、高尾に集まるランナーたちの拠点となっているのが、高尾山口駅そばに2019年に開業した、マウントタカオ ベースキャンプ(以下、高尾ベース)だ。「サロモン(SALOMON)」「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」「コロンビア(COLUMBIA)」など7ブランドと契約し、トレランシューズ、ランニング用ザックの貸し出しも行っている。レンタル料はシューズもザックも1日330円。最新ギアのレンタル開始日は、熱心なランナーが詰めかける。
「山は日本全国にあるが、ギアレンタルがあり、ここに来れば誰かしらに会えるという場所はそうそうない」と話すのは、高尾ベースの加藤もと子店長。ブランドも熱視線を送っており、「ここで貸し出したいというブランドは年々増えている」。ブランド主催等のイベントも多く、24年はトレラン関連だけで176件を実施、のべ3008人が参加した。「24年はシャワーやロッカーの利用客数が前年比16%増で、25年はそれ以上で進捗中。週末は1日100人以上が利用することもザラ」だ。
5月のある日、高尾ベースが運営するランニングクラブのグループランを取材すると、平日午前にも関わらず6人の参加者がいた。都内はもちろん、千葉の佐倉や神奈川の鎌倉から来た人も。この日はロードを走って公園でミニレースをし、高尾ではおなじみの初沢山へというゆるめな15kmコース。施設に戻りシャワーを浴びたら、ビール片手にランナー話に花が咲く。参加料金はシャワー、ロッカー利用とワンドリンク込みで1320円。「ランニングクラブはコミュニティー作りが目的で、利益は求めていない」と加藤店長。もちろん初心者もウェルカムで、ここが仲間作りのきっかけになっている。「トレランは毎週遠足している感じ。大人になって、こんなに自由で楽しいことってないでしょ!」と、参加者の1人は満面の笑み。
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