中国・上海を拠点に置くファッションブランド「ウーヤー(UOOYAA)」が日本市場への本格進出を計画している。2014年4月に設立した「ウーヤー」は、Z世代を中心とする20〜40代の女性から支持を集め、拡大を続けてきた。上海・新天地に1号店を構えた後は、国内80都市以上で100店舗以上を展開。オンラインではTモール(Tmall/天猫)を含む主要プラットフォームでも販売を行っており、EC化率は25%で、年間売上高は100億円を突破している。
デジタル大国で実績を積んだ独自のモノ作りとオフライン販売
「ウーヤー」のコレクションは、モードやストリートを掛け合わせた独自性の高いウエアを取りそろえる。主な商品の価格帯はトップスが2万5000〜4万円、ジャケットが8万〜10万円。インクジェットによる3Dプリントや手作業による刺しゅうなど、最新技術と個性的なデザインを特徴的で、平均客単価は約6万円。デザインは全て自社のクリエイティブチームが手掛けていて、企画から生産までを社内で行うことで、2週間に1度のサイクルで20〜30SKUが店頭に並ぶスピード感を実現している。
また、デジタル社会が浸透する中国において、リアル店舗での顧客体験にも注力してきた。それぞれの店舗にはテーマを設け、内装や接客を通じてブランドの世界観を表現。プロモーションでは、SNS広告や出稿をほとんど行わず、年2回発行のZINEで最新コレクションやブランドストーリーをていねいに発信している。さらに、動物保護施設と組み、里親を探す猫の写真をTシャツにプリントし活動をサポートするなど、社会的活動も積極的に取り組んでいる。
過去に「ラクロワ」やセントマ卒業生とコラボ。海外展開を進める
海外ではこれまでに、「クリスチャン・ラクロワ(CHRISTIAN LACROIX)」やロンドン芸術大学のセントラル・セント・マーチンズ校卒業生との協業を行ってきた。「ウーヤー ラボ(UOOYAA LAB)」という他ブランドやアーティストなどとのコラボレーションを生むプロジェクトを設け、メーンのコレクションとは差別化することで、さらなる独自性を磨いていく。
イン・ケンキョウ(Yin Jian Xia)会長兼最高経営責任者(CEO)は、北京服飾学院出身で、過去に中国最大のSPAブランド「メーターズボンウェ(Metersbonwe)」のデザインディレクター兼取締役副社長を務めた人物だ。日本でも実店舗を構えることで、ブランドの新たな可能性に挑戦する。「着回しやすさ、そしてユニークさを探求してきた『ウーヤー』は、若い世代のエネルギーが湧くようなデザインを特徴としている。ヨーロッパは社会性を強く感じるが、日本は文化や技術を重んじるクリエイティブな国。そして東京はデザイナー出身の私にとって憧れの都市だ。トレンドに敏感な日本の若い人々は海外ファッションにとても興味がある。そこに私たちがチャレンジできる余地があると期待したい」と語った。
ブランド初の日本での展示会を5月15、16日に原宿のミルギャラリーで実施する予定だ。日本窓口は、上海と東京にオフィスを置く益運豊(NST brand management consulting、劉瑶代表)。