
毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2025年5月26日号からの抜粋です)
廣田:「地域文化商社」を掲げるうなぎの寝床を見に、福岡県八女市に家族旅行したのが今回の特集のきっかけです。もんぺがそんなに売れるのか?なぜ都心のいい場所でポップアップができるのだろう?と不思議だったのですが、福岡市からもかなり離れている店に、多くの人が車で来ていて、楽しそうに買い物をしていました。こういう形で地域が活性化するのは素敵だな、と。特集の前半は、地域文化から生まれる新しい経済循環として2つの事例を紹介しました。
向:私はこの半年で多くの繊維産地を取材しましたが、すごく魅力的なモノを作っているのに、それが世の中にうまく伝わっていないと感じることが多々ありました。事業者数は15年で半減し、メード・イン・ジャパンのアパレルはもはや1%程度という中で、地域の価値・財産を資源化する視点は、日本の産地も生かすべきです。特集の後半では、八女のような事例を生かせるであろう魅力ある産地14カ所にスポットを当てました。
視点の持ち方と編集の仕方が重要
廣田:うなぎの寝床も地元の伝統工芸である久留米絣をなんとかせねば、から始まっています。いいモノ作りをしていても、それをどう世の中に伝えていくか。うなぎの寝床創業者の白水高広さんが「この時代において、価値化は情報化」と語っていたのがとても印象的でした。視点の持ち方と編集の仕方が重要なのですが、デザイナーや編集者のスキルにも通ずると感じました。
向:私も“日本のモノ作り”ってよく言っていたけれど、あまり産地に足を運んでこなかったことを反省して、今回多く巡りましたが、「日本にこんなに豊かな地域があるんだ」と感動しました。今、国としても観光に力を入れ始めていて、オープンファクトリーも増えてきています。アパレル業界で働く人は、ぜひ産地に行ってほしい。人生も職業人としても豊かになります。これぞサステナビリティですよね。
廣田:はい。日本国の持続可能性について考えました。ぜひ読んで、現地に行ってみてほしいです。