「大人の毛穴対策」として、今シーズン注目したいのは「洗顔系のアイテム」たちだ。これまでどちらかというと若年層向きだった洗顔アイテムが、複雑な大人の毛穴に対してどうアプローチをはかるのか?各社の革新的な技術とともに、進化型洗顔料の現在地を探る。
原因が複合なゆえに、対策が難しい大人の毛穴問題
年齢を問わず、日本において常に上位にあがる肌悩みといえば「毛穴」だろう。若年層の場合、主な要因は過剰な皮脂の分泌であるため、まずは「洗顔料」で何とかしようとする人が多いはずだ。価格の面で、若年層が手に取りやすい面もある。
一方で、年齢を重ねれば重ねるほど、毛穴の要因は複雑化していく。乾燥やターンオーバーの乱れによって、毛穴に角栓が詰まりやすくなってしまうこと。また、皮膚の下垂に伴って毛穴も引っぱられ、悪目立ちするケースもある。こうなると洗顔のみでの対策は難しく、ピーリングや引き締め効果を持つ美容液、肌にハリを与える美顔器、ケミカルピーリングや光治療など美容医療の施術まで、お手入れの選択肢が広がっていく。
逆に言ってしまうと、「洗う」というシンプルなケアで「大人の毛穴が何とかなる」と考える人は、少ないのではないだろうか。特に美容に詳しい人ほど、期待値は低いかもしれない。
洗顔にブレイクスルーをもたらした「角栓溶解技術」
そんな「洗う毛穴ケア」に1つのブレイクスルーをもたらしたのが、花王の「皮脂・角栓除去技術」である。角栓が毛穴の大きな要因であることは間違いなく、実は同社の研究により「年齢と共に頬の角栓は増えていく」ことも判明している。
そもそも角栓は、約7割のタンパク質と約3割の脂質で構成されているのをご存じだろうか。脂質の中でも硬い「固体脂」がタンパク質同士を強固に結びつけ、「洗っただけでは取り去りにくい」性質があった。花王がターゲットにしたのは、この固体脂だ。
数多の成分をスクリーニングした結果、「トリスヒドロキシメチルアミノメタン」(通称・トリス)に、固体脂を水溶化させる性質があることを発見。角栓のタンパク質をゆるめて内部に入り込み、固体脂を水に溶けやすい状態にして、角栓の構造を崩壊させるという。鼻パックのように物理的に引き抜くわけでもなく、ピーリングのように角層表面を溶かすわけでもない「角栓自らが崩れて、毛穴から溶け出してくる」のがポイントだ。
この新発想によって、近年「洗う毛穴ケア」は一段進化したといっていい。現在は他社においても、様々な視点から角栓を溶解させる研究が進化している。
2025年夏は「角栓溶解」の一歩先へ
エイジングケアまで視野に入れた洗顔料
そして今年の夏は、角栓を溶解するアプローチからさらに一歩踏み込んだ、洗顔アイテムが続々登場している。洗顔後の肌に「保水ヴェール」を形成したり、「エイジングケア」をも視野に入れた、大人の毛穴に迫るアイテムを各社の技術と共に紹介する。
角栓崩壊除去後に保水ヴェールを形成
メイクのりの良いなめらかな肌へ
花王のメイクアップブランド、「プリマヴィスタ(PRIMAVISTA)」から7月5日に登場する“プレメイクアップ ジェルウォッシュ”は、ブランド初となるスキンケアアイテム。花王独自の皮脂・角栓除去技術を搭載し、化粧ノリ・モチを悪化させる原因である、皮脂や角栓を速やかにオフしてくれる。さらに、洗浄中に保水カプセルからオイル系の成分を放出し、洗顔後の肌に「保水ヴェール」を形成するのが特長だ。保水ヴェールは、スキンケアのなじみをアップし、化粧ノリのよいなめらかな肌に整える。すっきり洗い上がると同時に、潤いのヴェールで包まれているような感覚を抱けるはず。洗顔料を変えるだけで肌のキメが整う効果を、AIによる肌診断でも確認しているという、大人のための洗顔料である。
独自の角栓溶解パラメータをもとに
量子コンピューターが導き出した処方
「コスメデコルテ(DECORTE)」から誕生した“AQ 毛穴美容液オイル”は、世界で初めて化粧品の処方開発に「量子コンピューター」を取り入れた画期的な製品だ。コンピューターが演算処理できるように、角栓中の脂質が溶けやすいエリアを数値化した、独自の「角栓溶解度パラメータ」を開発。そのうえで、複数の成分候補や理想的な処方条件を設定し、1000億通りもの組み合わせの中から、量子コンピューターがベストな処方を導き出したという。心地よい香りとともに、まろやかなオイルが肌に広がり、洗顔後はツヤを宿したなめらかな肌へと導いてくれる。香りや成分候補はAQのクオリティにふさわしいものを人の手によって選定し、人の発想を凌駕した組み合わせ計算を融合した、未来型のスキンケアだ。
2種類のオイル✕クレイで汚れをオフ
透明感をサポートするハイブリッド洗顔料
ミニマルかつ本質的な美しさを追究する資生堂の「ザ・ギンザ(THE GINZA)」から登場したのは、洗顔とマスクを1品で叶える“ハイブリッドクレンザー n”だ。溶解性に優れた2種類のオイルの力で角栓をゆるめ、2種類の天然ミネラルクレイが大気汚染物質などの毛穴汚れを吸着。塗布した時はまろやかなクレイ、マッサージするとオイルがあふれ出すようなリッチな感触に変化し、そのまま20秒肌に置いてマスクをする。リンデンエキス等の美容成分の力で、洗い流したあとは透明感のある健康的な艶肌が手に入るだろう。この唯一無二のテクスチャーを叶えるために、特別な温度設定や攪拌技術、7ろ過行程を経て完成した、週に1~2回の特別なお手入れ。大人の肌を総合的に美しい質感へと導いてくれる。
「洗う」というシンプルなステップで、角栓を溶解し、肌の質感にまでアプローチする進化型洗顔料。いずれも肌がなめらかに整う手応えがあり、保湿感やツヤ、血色をサポートする働きに、個人的には驚きを覚えずにはいられなかった。ジェンダーに関係なく(メイクをしていない人にも)心からおすすめしたいアイテムたちである。